興信所ができない違法調査とは

探偵社/興信所の選び方

2025-06-20
興信所の調査で、違法となるのはどのような調査ですか?
興信所が行っても良い調査は、法律で決められています。どのような調査がそこから外れてしまうのか見ていきましょう。

一般的に興信所と呼ばれる業種では、調査のためにしてよい手段が「探偵業の業務の適正化に関する法律」、通称探偵業法で定められています。

「探偵業の業務の適正化に関する法律」第二条第一項には、興信所が行っていい調査は、“尾行、張込みその他これらに類する方法”によるものであると定められています。
また、同探偵業法の第六条には、次のような記載もあります。


探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者(以下「探偵業者等」という。)は、探偵業務を行うに当たっては、この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。

(引用:探偵業の業務の適正化に関する法律 第六条


つまりまとめると、興信所に認められる調査方法は、

  • 尾行
  • 張込み
  • その他、他の法律に違反したり、他者の生活に迷惑を掛けない手段

ということになります。


違法となる調査とは?

まず、探偵が引き受けてはいけない調査にはどんなものがあるか見ていきましょう。

依頼者に渡した情報が犯罪などに使用されるとわかっている場合

大前提として、依頼者に調査結果を引き渡すことで、違法な行為や差別を助長するということがわかっている場合、依頼を引き受けることは許されません。

たとえば、元交際相手へのストーカー行為や、DV(家庭内暴力)を再開するために対象者の居場所を突き止めようとしていると依頼者の意図が明確なケースでは、調査自体が違法性を帯びる可能性があります。

探偵業法では、「調査で得た情報を犯罪行為などに使わない」という旨を記した書面を、興信所が依頼者から受け取らなくてはならないと定められています。

携帯番号から個人情報を割り出そうとする場合

携帯番号調査とは、依頼者が持っている電話番号からその相手の氏名・住所・勤務先などを突き止めようとする調査を指します。探偵業者にもこうした相談が寄せられることがあります。

ただし、携帯番号は個人情報にあたるため、本人の同意がない状態で情報を追跡することは、プライバシー権の侵害個人情報保護法違反につながるおそれがあります。

仮に依頼目的に一定の合理性があるように見えても、調査の進め方や情報の取得経路によっては、調査側が責任を問われる可能性も否定できません。

他人の口座情報を正当な手続きなく調べようとする場合

口座調査は、対象者の銀行口座の有無や残高、入出金の動きなどを把握しようとする調査です。慰謝料請求や財産分与、養育費の未払いなどを理由に求められるケースもあります。

しかし、金融機関の口座情報は法的にも非常に強く保護されており、正式な手続き(裁判所や弁護士を通じた開示請求など)なしに個人が第三者の口座情報にアクセスすることは認められていません。

正規のルートを経ずに情報を入手しようとすれば、調査員自身が法的処罰の対象となるリスクもあります。


違法になる興信所の調査中の行動とは?

違法になる興信所の調査中の行動とは?

では調査中に行ってはいけない行動にはどのようなものがあるでしょうか。いくつか例を挙げてみます。

不法侵入

興信所各社が浮気調査、身元調査などを行う上で細心の注意を払っているのが、この不法侵入です。

例えば、浮気の証拠写真を撮影するにあたって、いくら良いポイントであっても、第三者の敷地に勝手に入り込んではいけないからです。
また、尾行をしているとき、他人の敷地を無断で横断してしまうと、これも不法侵入になってしまいます。

加えて、調査対象者がマンションのどの部屋に住んでいるのか確認するために、オートロックをくぐり抜けて内部に侵入する、などの行為も不法侵入に当たる可能性があります。

(参考:探偵業の業務の適正化に関する法律の概要|警視庁

個人情報保護法違反

個人情報保護法には、適正取得の義務が定められています。
つまり、違法な手段で取得されたものだという認識を持って個人情報を購入、取得するのは、この適正取得の義務に反します。
名簿業者が何らかの違法な手段で個人情報を取得したと知っていて、興信所がそれを購入するような調査は許されません。


交通違反

尾行の際、交通違反を行うことも当然ですが許されません。
通常の交通違反と同様、罰金などを受けることになります。


文書偽造、偽計業務妨害など

役場では住民票、銀行では借り入れの状況など、何らかの情報を取得しようとすると、身内であることや本人であるという身分が求められます。

これを偽り情報を引き出せることはそうそうありませんが、もし成し遂げてしまうような事があれば、調査のためとは言え違法行為となり、罪に問われる可能性もあります。


まとめ

以上、違法となる興信所の調査について解説しました。

ご覧いただければわかるとおり、興信所が行ってはいけない調査は、基本的に特定の権限が認められている職業(警察官、弁護士など)が許可を得た場合のみに認められるようなことばかりで、 一般的に誰が行ってもいけないことです。
法律の範囲内で、正当な調査行為を淡々と積み重ね、依頼者が求める情報に辿りつくのが興信所の仕事です。

そのため、「特別なコネがあるのですぐに調査が終わる」というような売り込みをする興信所には、絶対に依頼をするべきではありません。

各都道府県警のHPなどを確認し、なんらかの違法行為で行政処分を受けたことがないか、業者の信用を確かめることをおすすめします。


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